2010年01月02日

頭の体操

さて、今回の記事は、シチュエーショントレーニングについてです。
普段、何気なく新聞記事や目にする事件について、
自分が当事者であれば、どう対応するか?を考えるのは、
有効なトレーニングになります。

そのような状況で、慌てないために十分な想定訓練を実施するのは
非常に有効となります。

 個人単位であれば、適当な新聞記事や事件の記録を基に
その場に居た場合、自分にどのような事が出来るか?
どんな行動が最適かを書き出したり、頭の中で考えると
緊急時に対応の引き出しが増え、必要な措置を的確に行えます。
さらに、こうして考える事により自分に不足している知識やスキルが
明確化され、それらを補う必要も認識できるでしょう。

さあ、前置きが長くなりましたが、早速例題を出してみましょう。


http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100102-OYT1T00233.htm
大型観光バスが分離帯突き破る、36人軽傷

 2日午前10時50分頃、群馬県渋川市の関越自動車道上り線で、
大型観光バスが中央分離帯を突き破り、下り線に飛び出した。

渋川広域消防本部によると、乗客ら38人が病院に運ばれ、このうち36人が軽傷を負った。
 群馬県警高速隊によると、バスには乗員乗客合わせて46人が乗っていたという。

頭の体操
(2010年1月2日13時43分 読売新聞)
引用ここまで・・・

・貴方は、正月休暇中でこのバスに乗っていました。
・持ち物は、ライター・フラッシュライト・IFAK
・シートベルト着用にて、本人は負傷無し

○現状において、必要な措置


1 考えられる行動
・2次災害の防止
・関係機関への通報
・負傷者の応急救護
・警察ないし消防の誘導
・負傷者の搬出支援

2 上記行動で必要となる知識
ア)高速道路上での2次災害防止手順
イ)関係機関への通報における情報整理技術
ウ)大量負傷者発生時の対応手順
エ)傷病部位における正しい搬送要領

3 必要となる知識において不足しているもの
ア・ウ・エ

4 行動時に問題となる点
・バスの発炎筒や三角停止板はどこにあるのか?
・同乗者を掌握して協力体制を作るには、どうするのか?
・医療従事者ではないので、トリアージはできない
・負傷者を車両から遠ざけたいが、気候・状況的に難しい


ざっと考えてもこれだけの行動と、疑問点
そして自分の不足している知識について浮かんできます。
新聞記事を見ながら、10分もあればできる頭の体操

正月休みのリハビリに如何でしょうか?


Posted by 柏木@中の人 at 22:05│Comments(10)
この記事へのコメント
「頭の体操」にしては不謹慎ですね
Posted by アップ at 2010年01月02日 23:43
アップさんはじめまして。

どの点が不謹慎であるか、具体的に教えて頂けますでしょうか?
ここでは、自身が同様の状況におかれた場合
どのような対処が出来るか?
また、その対処にどの様な知識が必要で、
自分に不足している技能は何かを考える事で、万一の場合に
備える事を主眼としています。

特段、被害に遭われた方を貶める事は記載ないし考えてはいませんが
具体的にどの点が不謹慎であるか、内容のある記述をお願い致します。
Posted by 柏木柏木 at 2010年01月03日 00:52
あけましておめでとうございます
ことしもよろしくお願いします

早速のリハビリに頭を悩ましています
今回の想定の場合特に4の同乗者との協力体制は非常に重要であると思います
同時並行的に物事を進めなくてはならない状況です
ですから今回の場合は話し合いをしている余裕もないのでリーダーとなりできるかぎり具体的な指示を出す必要があります
普段から様々な状況を想定しておくことは非常に重要です
決して不謹慎ではないと思います
Posted by D-project at 2010年01月04日 22:16
お久し振りです。あけましておめでとうございます。

救命士の学校や国試にも事例問題といって、
このような想定やら、何歳、男性、既往歴はどうこう、といった問題が出ます。
いざという時に行動できるように、普段からこうする、といった考えを持つ訓練
をする事は、とてもいいことだと思います・・・。
Posted by RP at 2010年01月05日 01:28
D-projectさん>
今年もよろしくお願いします。
出典を忘れましたが、緊急時は具体的な行動をおこせる人と
ただ傍観する人に別れ、傍観する人は何をして良いのか、
判らない為、傍観者になるとの記述があったと思います。
そうして考えると、的確に指示を出す方法も訓練プログラムに
取り入れる必要がありますね。

今回のケースで車両から退避する場合、D-projectさんは
どこに退避させますか?
路上に出るのは論外だと思うので、やはり中央分離帯付近でしょうか?

RPさん>
そうですね。
ケーススタディとして、よく出題されますね。
ところで、今回のケースでは腰骨の骨折が数名出たようですが
シートベルトによる損傷でしょうか?
それとも衝突による外的要因ですかね?
車両からの燃料洩れ等で退避の必要性がある場合
搬送方法がイマイチイメージできません。
宜しければ、ご教授願います。
Posted by 柏木柏木 at 2010年01月05日 18:09
あぁ、忘れてた!
D-projectさん、RPさん
お二人とも、ブログにリンク張らせて頂いて宜しいでしょうか?
Posted by 柏木柏木 at 2010年01月05日 18:10
避難場所については考えていたのですが、車両が中央分離帯を横断していることから、出口の位置にもよりますが、車線の進行方向に向け車体が先に出ている側への避難が現実的だと思います
この写真ですと、手前の車線の場合は車体より後方、奥の車線の場合は車体前方になります 
しかしバスの出口の位置から出て車体後方へ移動するのは困難な場合も考えられます その場合は出口を変える(ガラスを破る)などの選択肢もあり得ると思います
  難しいですねえ・・・

リンク是非お願いします:工事中です
(低驚異度CQBで検索いただければヒットすると思います)
当サイトのリンクを無断で張ってしまい誠に申し訳ございません(大汗)
Posted by D-project at 2010年01月05日 22:16
すません
驚異は脅威の間違いです(大汗×2)
Posted by D-project at 2010年01月05日 22:27
>柏木様
まだ外傷処置までは習っていないので、詳しい事は分かりかねますが、
ご容赦を(^^;

シートベルト損傷といって、衝突時にシートベルトによって押さえつけられて
腸管損傷や腰椎損傷などが起こる事が多々あるようです。
しかし、現実問題、高速バスの中でシートベルトしている人は余りいないと思いますので、衝突によるものも考えられるかもしれませんね・・・。
脊柱損傷や骨盤骨折の疑いがある場合、全脊固定を実施して
L&Gすると思います。
骨盤骨折は往々にして骨盤静脈叢を破壊して大量出血を起こし、
後腹膜出血による出血性ショックを引き起こすので、
迅速な搬送が欠かせません。
傷病者搬送はレスキューが窓を割るなど通路の確保をして救出するみたいです。5名以上の負傷者が出ている場合、大規模災害を宣言して
トリアージを実施すると思われます。

長文失礼しました。
ブログのリンクの件、是非ともお願いします!!
Posted by RP at 2010年01月07日 01:27
D-projectさん>
なるほど、進行方向に対して柔軟に退避場所を考える事が
必要になりますね。

このような状況なら、バス後方の非常口も有効に活用しながら、
避難させる必要がありますね。
慌てない為に、次回バスに乗ったら、非常口の開放方法と
通常の出入口の開放方法を確認してみます。

RPさん>
高エネルギー外傷の場合、救急現着時に意識レベルの低下も
考えられますので、意識のある内にバイスタンダーが
聞き取りを行い、トリアージの迅速化を行う必要がありますね。

そう考えると、タックメモをトリアージシートの代わりに、
色別でキットに組み込むのも、考えても良いかもしれません。
Posted by 柏木柏木 at 2010年01月09日 13:04
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