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Posted by ミリタリーブログ at

2009年05月30日

危機管理情報~北朝鮮核実験に伴う退避勧告

皆様、ご承知の通り5月25日に北朝鮮が核実験を行い、
朝鮮半島情勢が緊迫化しています。

すでに有料版の危機管理情報では、昨年から
韓国への渡航に関する注意喚起を行っていましたが、状況が切迫して来た為、
こちらでも退避勧告の情報と注意点を掲載したいと思います。





 
 

上記のグラフは最新の危機管理情報から転載しています。

有料情報との絡みから、詳細な情報はこちらでは書けませんが、
現在、韓国とその周辺海域に注意喚起情報を出しており、
早急に退避する事が望ましいと記載しています。

そこで今回は、退避する場合の注意点とその手法について、記載致します。

退避に向けた準備
 まず、脱出経路を複数手段確保して下さい。
空路であるならば、異なる空港からの出発便を確保して下さい。
同時に、海路での移動も考慮して、乗り場やチケットの入手方法、港までのルートを検討して下さい。

現状は、往来に制限が無い為、女性や子供・持病がある方は早期の帰国を推奨致します。
また、やむを得ず韓国にとどまる駐在員等の方は、以下の準備を行って下さい。
 
・脱出ルートの選定と移動手段の確保
 必ず複数用意して下さい。また、空港や港へ向かう移動手段の確保も必要です。

 
・燃料、医薬品、食料・飲料水の確保
 政情が不安定になると、確保が困難になります。最低3日分は必要です。

 
・緊急時持ち出し品(最低限の着替えや洗面道具、パスポート等)の準備
 緊急時には大きな荷物の移動が制限される可能性があります。
緊急脱出に備え持ち出し品を用意して下さい。

 
・現地工場・営業所の閉鎖時の対応と、重要書類や機密の保管、破棄手順確認
 閉鎖の判断基準と重要データは、破棄ないしサーバ経由で日本に転送する。

郵送や宅配便の手段は機能しなくなる為、重要なサンプルや機材は早急に発送する必要があります。
発送の優先順位の選定と梱包用資材を調達し、
直接業務にかかわりの無い試作品やサンプルは早急に日本国内に発送して下さい。

 
・緊急連絡先のリストアップと邦人スタッフの安否確認方法の確認
 本社や関係者の連絡先、現地スタッフの緊急連絡網整備

 
・家族のパーソナルデータシート(身体的特徴やパスポート番号等)
 万が一、事件事故が発生した場合に必要になる。
生年月日や身体的特徴、毛髪等のDNAデータ、写真等をまとめた物
重要な個人情報の為、取扱いに十分注意する。

 
・生理用品や持病の薬、乳幼児がいる場合、オムツやミルク等
 緊急事態が発生すると体調に変化をきたす場合が多い為、必須です。

 
・大使館への連絡体制の確保と現地スタッフの最新データの提供

 大使館で邦人の安否確認を行う場合に、最新のデータが必要になります。
 
 


○退避に向けたシュミレーション
 韓国に工場や営業所を置いている企業では、現地スタッフの避難に向けた机上演習の実施を推奨します。
情報収集フェイズから、実際の避難における状況判断を現地スタッフ及び首脳陣が把握する事によって、
非常時にスムーズな退避が可能になります。

 
※必要となる訓練項目
 
・現地との連絡体制の確立
 電話回線は、当然混乱し通信障害を起こす可能性もあり、
メールやイントラネット衛星通信回線等複数用意して、通信訓練を行うことが望ましい。

 
・オープンソース及び現地からの報告による情報収集訓練
 現地からの報道や外務省発表と駐在員からの報告を総合して、判断に必要な情報を集約

 
・対策責任者の選定と対策本部設置
 現地での対策責任者と、本社(国内)での対策責任者を選定する。
概ね、支店長や本社専務クラスが担当する。現地の情勢によって、
対策本部の設置規模を判断し、必要に応じて調整を行う。

 
・現地での営業継続の可否判断と退避レベルの設定
 上記の情報収集により、現地の騒乱や混乱を客観的に判断し、営業に支障が出るケースを想定する。
この際は、直接的な被害の他に現地での感情やイメージにも考慮しなければならない。

 
・現地従業員への待機命令のタイミングとその伝達手段
 現地対策責任者の状況判断を本社に報告し、その上で本社判断を行う。
現地駐在員に緊急連絡を行う伝達訓練も同時に行う事が望ましい。

 
・現地スタッフの安否確認と緊急連絡体制の確認

 上記項目重複するが、長期休暇や旅行・出張に出ているスタッフの安否確認や
避難指示緊急連絡体制も確認する必要がある。

 
・各退避レベルによる従業員の帰国支援体制の確立
 避難レベルとしては、自宅待機→家族避難→工場(営業所)閉鎖→緊急帰国となる。
緊急で出国する際は、会社が渡航費用を一時負担する仕組みや、
遠方に実家がある場合など、国内での宿泊場所の確保も必要となる。

 
・日本国内での受け入れ態勢の整備
 緊急帰国したスタッフは、すぐに報告や聞き取り調査を行った後、
その雇用を継続させる必要があり、国内での同種の業務への割り振りや、
子供の就学支援、住居等受け入れ態勢の整備は、多岐にわたる。

 
・駐在員の身体的特徴と個人情報の取り扱い方法
 万が一、駐在員やその家族に身体的リスク等が発生した場合を考慮し、
顔写真から身長体重、特徴や歯科治療記録・DNAサンプルを本社で一括保存する。
ただし、これらの情報は重大な個人情報であり、
開示する条件や保管に関する条文を本人としっかり協議しなければならない。

 
・現地雇用従業員の対応とケア
 混乱の発生によって、現地工場が閉鎖になった場合、
現地従業員に対して自宅待機命令を出す必要がある。
しかし、仕事に対する取り組みの姿勢は、国によって異なり、
当該国の民族性を考慮しながら、待機にかかる指令や
再雇用措置・待機時の賃金に関する保証を決定しなければならない。

 
・公的機関への連絡方法と連絡手段の整備及び担当者の確認

 公的機関、主に外務省の邦人対策室ないし、
現地在外公館に対して問題が発生した場合の緊急連絡窓口を取り決め、
昼夜における連絡手段を整備する必要がある。
同時に、騒乱発生時の対応窓口や安否情報の送信先及び送信手段について、確認を行う。
 可能であるならば、外務省の担当者に対策室要員に対し、レクチャーを実施してもらう。

 
・大規模な混乱発生時の自主避難経路及び出国手段の確認
 休業中の事案の発生や、急激な拡大などで、対応が後手に回った場合、
事前に打ち合わせを行い、緊急時の出国手段や避難経路、
事前集合場所を選定し、実際に駐在員の家族を含めた緊急帰国訓練を実施する。

 
・負傷者及び死亡者発生時の対応
 不幸にも、駐在員やその家族に負傷や死亡者が発生した場合、
情報が錯綜し現場ないし対策本部は、混乱を極める。
その為、負傷者や死亡者が発生した際のガイドラインやマニュアルを作成しておく必要があり、
その為に対策本部要員で机上シュミレーションを実施し、課題点や対応策を検討する。

 
・現地工場、営業所閉鎖時の対応とライン停止時の振り替えシュミレーション
 大手企業であれば、自然災害や火災等によってラインが停止した際のマニュアルは整備されているが、
カントリーリスクがある国に駐在員を派遣、工場を建設する場合、
戦争及びテロ・暴動の発生に伴う操業停止リスクも盛り込む必要がある。
同時に、ダメージコントロールの一環として、他の工場にラインを移動ないし
新規稼動させる際の、準備期間や再開までの目処を明確にしておく事によって、
実際に事案が発生した場合、速やかに混乱を収拾する事が可能となる。

 
・原材料の調達先変更及び、発注先の選定
 現地に営業所を設置して、原材料の調達や材料の仕入れを行っている場合、
同様の仕入れが可能な国や地域を、あらかじめ把握しておく必要がある。
また、調達可能な量や材料の品質・価格等も同時に調査し、
速やかな調達先変更が可能なように準備を整えなければならない。

 
・影響を受ける取引先企業の一覧作成
 万が一、紛争や暴動によって製品の出荷に支障が出る場合、
取引先企業の信用にダメージを与える事態は避けなければならない。
その為、事案発生時、速やかに連絡を行えるように、主要取引先の一覧を作成し、
振り替え可能な製品の検討や再出荷までの期間を速やかに提出する事で、
実際の収益に対する損害の他、自 社ブランドやイメージへの信頼低下を最小限に食い止める必要がある。

 
・プレスリリースの発表と記者会見シュミレーション
 現地駐在員が何らかの被害にあった場合や、工場や営業所の運営にかかわる事態が発生した場合、
速やかに経営者や責任者によって、プレスリリースや記者会 見を開く必要がある。
情報が錯綜し、対策に追われて疲労している状況では、
思わぬ失言が発生しメディアに揚足を取られかねない。
その為、正確な情報を少なく断続的に発表する事前訓練が必要となる。
 
 同時に、机上訓練を行う際は、記者会見用の原稿を実際に作成し、
その内容を参加者が精査する事で、迅速かつ完成度の高い発表を行える体勢を整備できる。

 
・従業員及びその家族における補償問題の試算及び財源の確認
 駐在員や現地雇用社員に死亡者や負傷者が発生した場合、そのケアや保障に関する問題、
入院・葬儀にかかる費用や、家族の現地渡航費用等をどの程度の額を拠出するか。
また、その財源はどこから出すのか等を事前に取り決めておく必要がある。

 
・各種保険会社との協議と適応範囲の確認
 上記問題にも関連してくるが、操業停止時の保証や製品・設備、工場への保険適用について、
保険会社と打ち合わせを行い、対策本部で把握しておく必要がある。
また、保険料の算出や支払いの時期を確認し、支払われた保険金の用途と見積もりを事前に把握しておく必要がある。


  

Posted by 柏木@中の人 at 12:26Comments(0)危機管理情報