2009年05月28日

ニュース解説

やっと原稿が仕上がりまして、ほっと一息ついた所です。
しかし、リンク用の新聞記事を検索していた所、気になる記事を発見しました。

YOMIURI ONLINEより転載
威嚇なしの警官発砲は違法、神奈川県に約1千万賠償命じる

 パトカーに乗用車を衝突させるなどして神奈川県警の警察官に発砲され、
下半身不随になった横浜市の男性(31)が「発砲の必要性はなかった」として
国家賠償法に基づき、県に約8080万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が
27日、横浜地裁であった。

 小林正裁判官(鶴岡稔彦裁判官代読)は「発砲前に威嚇射撃を行うべきで、
適法な職務執行とは言えない」と述べ、県に約1150万円の賠償を命じた。


転載ここまで・・・

この訴訟は、今後県警側は控訴すると思いますが、
拳銃の適正な使用をめぐり複雑な心境になります。
上記の記事では、当時の詳しい状況が分からず、
検索をかけた所該当記事がヒットしました。

レスポンス過去ニュースより転載

自販機荒らしに発砲、容疑者重傷


同4時15分ごろ、2人の警察官が乗ったパトカーは横須賀市坂本町付近の市道で
手配中のナンバープレートを装着した容疑車両を発見し、ただちに追跡を開始した。



パトカーは赤色灯とサイレンを使用して走行。
マイクで容疑車両に対して停止を呼びかけたが、クルマはこれを無視して走行を続けた。

5分後の午前4時20分ごろには袋小路となっている横須賀市不入斗町3丁目付近の市道に
容疑車両を追い詰め、退路をパトカーで塞いだうえで車内にいた2人の男に対して
エンジンを切って投降するように呼びかけた。

しかし、男たちはこれを無視。アクセルを空ぶかしして
パトカーに体当たりをする構えをみせたため、警棒でガラスを破壊。

それでも抵抗を止めずにクルマを発進させてパトカーに体当たりしため、
31歳の巡査部長が「止まらないと撃つぞ」と警告した後、拳銃1発を発砲した。



転載ここまで・・・

警察官等けん銃使用及び取扱い規範の解釈及び運用について(例規)(pdfファイル)

(平成13年11月30日例規第47号)


以前も紹介した上記のPDFファイルですが、こちらの12ページに
「予告することなく相手に向けてけん銃を撃つことができる具体例」が挙げられています。
その中に、こう記載してあります。

ウ 盗難手配の出ている不審車両を発見したので、
職務質問を行うために停止を求めたところ、
これに応じないで、突然周囲の人や物に車を衝突させながら
逃走しようとした場合


これらに基づいて、現場の警察官は窮迫する事態の中で、被疑者に対して射撃を行ったのでしょう。
法律や警察組織が裏付けした条文を信じて、射撃を行った警察官に対して、
司法が威嚇射撃の必要性を判決に盛り込むのは、非常に悲しいと言わざるを得ません。


もう一度、当時の記事を読み返してみたいと思います。
実際の現場を取材できれば、もう少しマシな記事や具体的な話ができると思いますが、上記の記事
から推察できる範囲でしか情報が無い為、歯切れの悪い記事になる事をご容赦下さい。

午前4時20分ごろには袋小路となっている横須賀市不入斗町3丁目付近の市道に容疑車両を追い詰め、
退路をパトカーで塞いだうえで、車内にいた2人の男に対してエンジンを切って投降するように呼びかけた。



大きな地図で見る

地図を見る限り、周辺は住宅街で付近には学校も存在します。
管轄地域をよく知る地域課の署員であれば、付随被害が発生する可能性が高く
その場で逮捕を行わなければならないと、良く理解していたでしょう。

そんな中で袋小路に犯人を追いつめて警告と警棒で被疑者を逮捕しようと奮闘した事は、
称賛に値します。

被疑者はパトカーに体当たりを行い、逃走を企てます。
こうした相手に対して射撃を行う事は、自己および同僚の生命や身体を防護し、
被疑者の行為をやめさせる為の正当な行為で、
警告の後 射撃を実施したと思われます。


加害車両には、運転席と助手席に被疑者が乗車しており、パトカーに衝突させなければ
脱出できない程度の道幅に追い込まれたと想像します。

航空写真を見る限り、周囲は住宅街であり左右や上空に向けて威嚇射撃を行う場所は
見当たらなかったと思われます。
また、パトカーに衝突されこのままでは逃走の恐れがあり
民間人への被害を考えると、発砲は必要な判断であったと思います。

また、袋小路に追い込んだと言う状況を考えると、相手は切り返しができない状況だったと
思われ、加害車両は後部ないし正面を向いた状態だったでしょう。

ニュース解説
この写真は、次回のネタで使用する予定でしたが、ここで使います。

写真で分かるように、車両の後部を狙った場合、運転席と助手席に人が乗っている場合
威嚇射撃を行う事は、非常に難しくなります。

この辺の動きについては、後日紹介しますね。


さらに、行為をやめさせる為には、タイヤやエンジンを射撃してもすぐに止まりません。
運転者に対して銃撃を行う事が必要です。

車をパトカーに繰り返しぶつけて脱出を図ったため、
巡査部長は約1メートルの距離から男性の右肩を狙って発砲。
右脇腹に命中して男性は下半身不随となった。

男性は公務執行妨害と覚せい剤取締法違反などの罪で起訴され、
07年8月に東京高裁で懲役2年、執行猶予4年が確定した。


この記事から推測すれば、巡査部長は側面に回り込み、運転者をピンポイントで射撃する位置に
移動して射撃したと思われます。
ただし、角度から考えて移動した箇所が助手席側か正面よりだったのかもしれません。
それで被疑者の脇腹に命中し、脊髄に損傷を与えたと思われます。

ただ、上記の記事では薬物の使用が確認されており、
結果をみても適正な判断だったと言えるでしょう。



NSR(no standard response)の原則が理解される日は、日本に訪れるのでしょうか。
何はともあれ、今回提訴された警察官の方が、不利益を被る事の無いようにお祈り致します。



ウィークハンドの件は後ほど書きますので、
少々お待ちください。


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Posted by 柏木@中の人 at 08:05│Comments(0)雑記ネタ
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