2009年05月21日

ウェポンリテンション②~車両へのアプローチ

さて、鉄は熱いうちに打て。
ブログとドライファイヤは、毎日撃てって事です(笑)

さて、今日は車両へのアプローチでのウェポンリテンションです。
これはアメリカでは各種トレーニングセンターやアカデミーで、
よく訓練されている項目ですが、日本ではどの程度行われているか、定かではありません。

パトロール(警ら)中の犯罪遭遇率は非常に高く、安全確保が急務になります。
そこで、今回はPCから停車させた車両へのアプローチを紹介します。

ウェポンリテンション②~車両へのアプローチ

 さて、あなたはPCに乗車して不審な車両を停車させました。
この際にポイントとなるのは、安全な車間距離を取るという事です。
道路や路面状況にもよりますが、最低でも5mは車間距離を取りましょう。
ヘッドライトを点灯していれば、ある程度車内の様子がわかりますし、対象車両が急にバックしても
車間距離があれば、身構えたりある程度対応が可能になります。


 さらに、後ろの(PC役)車のタイヤに注目して下さい。車道側にタイヤを切って停車しています。
こうする事で、バックしてきてもズルズルと後ろに押される事がなく、
発進の際も速やかに車道に出れられます。

さて、この時点で脅威が高い(乗車人数が多い等)が判明したならば、応援の到着を待ちますが、
通常の職質等であれば、声かけを実施しなければなりません。
それから降車前に必ず、装備のチェックと周囲のスキャンを実施します。

 これから、使うかもしれない装備品はキチンとチェックを行うクセが重要です。
乗車前に点検はしていると思いますが、マーフィー君の法則がいつ発動するかわかりません(笑)


 さらに、周囲のスキャンは重要で目標対象物に集中した場合のトンネルビジョンを防止し、
付随被害を最小限に留めるために、非常に重要になります。
停車させた対象車両は、正面だけですが、もし仲間の車両が周囲に存在したら、
不意に襲撃を受ける可能性があります。
同時に、サイレンを聞きつけた周辺住民や野次馬が巻き込まれる事態を防止しなければなりません。

これらの作業は、基本的に2名乗車が基本ですので、分担してもかまいません。

ウェポンリテンション②~車両へのアプローチ

 後方の安全をミラーで確認後、アプローチを開始します。
この際は、使用する可能性がある装具に、手を触れてしっかりと位置を確認しながら、
視線は目標車両から離さずに手探りで確認します。

実際に装具を使う状況になったら、目視で装着場所を確認したり出来ませんので、
手に場所を確認させましょう。


 さて、これからが今回の接近方法のミソになります。
通常は、このまま直進して目標車両に接近すると思いますが、それは間違いです。
私も最初に聞いた時は、自分の頭の固さを嘆きましたよ・・・

最近のトレンドは、湾曲して接近するんです。はい・・・
戸口に使用すると思われがちなスライシング・パイは色々と応用が可能だと聞かされました。

ウェポンリテンション②~車両へのアプローチ

フォトショを弄って、分身の術をかけてみました(笑)
初心者なので多めに見て下さい・・・

 さあ、4人目に注目して下さい。
リアのピラーから ななめ程度の位置でスライシングを開始して、
後部座席や車内の様子を確認します。

真っ直ぐに車に近づくと、ミラーで相手に接近を窺われ、
急発進や襲撃のタイミングを与えてしまいます。

しかし、ある程度湾曲して接近すると車からの距離を稼げますし、
視野も広くなります。

ウェポンリテンション②~車両へのアプローチ

また、前後に人間が乗車している場合、射撃の際に射線が被らず上の写真の位置ならば、
運転者や後部座席を選択して射撃可能になります。

無事に接近できた場合、目標車両への最終アプローチを実施します。



ウェポンリテンション②~車両へのアプローチ

最終的には、この位置に達するように、移動してきます。
そしてインタビュー開始となります。



ウェポンリテンション②~車両へのアプローチ

この位置が、車両へのインタビューポジションになります。
この位置ですと、運転者がドアを突然開けようとしても、てこの原理で阻止が可能で
急発進されても、内輪差で後輪に巻き込まれる可能性が少なくなります。

一番重要なのは、この位置であれば運転者が銃撃を企てても、
体勢に無理があり、射撃が困難になります。



ウェポンリテンション②~車両へのアプローチ

後ろから見ると良くわかりますが、運転者が銃を持っていた場合、
1歩下がると、シート越しに運転者に射撃が可能になります。


ウェポンリテンション②~車両へのアプローチ

はい、このように運転者がドアを開けようとしても、足と手で阻止可能です。


また、基本的な事項としてエンジンの停止や運転者であれば、ハンドルの上に
手を置いてもらう等の受傷防止措置がとても重要になります。



つづく・・・

【注意!】

相手の脅威度や状況に応じて対応やポジションを変化させる柔軟な手法が必要で、
適切なトレーニングが必要です。
このブログを読んだだけで、実際に使用する事は避けて下さい。

また、本ブログの内容を利用して何らかの不利益や損害が発生した場合、
著者及びコメントを書いた方は、一切責任を負いません。






同じカテゴリー(タクティカルネタ)の記事画像
装備に関する基本的な考え方 ~ その3
まずは、完成
装備に関する基本的な考え方 ~ その2【文章ミス若干 修正】
装備に関する基本的な考え方
3.24SDT ON TTCトレーニング のご報告 最終回
3.24SDT ON TTCトレーニング のご報告 番外編
同じカテゴリー(タクティカルネタ)の記事
 装備に関する基本的な考え方 ~ その3 (2012-05-02 21:37)
 まずは、完成 (2012-05-01 09:34)
 装備に関する基本的な考え方 ~ その2【文章ミス若干 修正】 (2012-04-17 17:05)
 装備に関する基本的な考え方 (2012-04-14 16:43)
 3.24SDT ON TTCトレーニング のご報告 最終回 (2012-04-13 20:04)
 3.24SDT ON TTCトレーニング のご報告 番外編 (2012-04-12 21:18)
Posted by 柏木@中の人 at 17:48│Comments(2)タクティカルネタ
この記事へのコメント
 なるほど!勉強になりました。
Posted by あっさむ at 2009年05月21日 19:31
あっさむ様>
ありがとうございます。
これからも、コメントやリクエストなどありましたら、お願いします!
Posted by 柏木柏木 at 2009年05月22日 00:01
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。