2009年05月21日
ウェポンリテンション①~インタビューポジション
3年間で、十分トレーニングの写真やらネタは仕込んでおりましたので、
今の所は連続更新が続いていますが、いつまで続くやら(笑)
さて、今回はちょっとマニアックなネタですが、ウェポンリテンションと車両への
接近と不審者の拘束法を数回に分けて、掲載したいと思います。
今回は、ウェポンリテンションです。
まず、ニュースソースから・・・
--------------------------------------------
http://jp.ibtimes.com/article/biznews/090202/28312.html
拳銃奪おうとした男子中学生に警官が威嚇発砲-愛知・豊橋
2日午前2時半頃、愛知県豊橋市中岩田の市道で、県警豊橋署の男性巡査長(26)が、
中学2年の男子生徒(14)に職務質問しようとしたところ、抵抗されて暴行を受け、
拳銃を奪われそうになったため、拳銃で川面に2発威嚇発砲。
生徒を公務執行妨害と傷害容疑で現行犯逮捕した。
巡査長は顔などに軽傷、生徒にけがはなかった。
同署によると、巡査長は別の警察官とパトカーで巡回中、
原付きバイクに2人乗りしている男子生徒らを発見。
職務質問しようとしたところ、もみ合いとなり、巡査長と生徒は川に落ちた。
そこで拳銃を奪われそうになったため、警告した上で発砲したという。
同署は、拳銃の使用について「適正だったと判断している」とコメントした。
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ソースがなくなっていましたが、読売新聞より引用
職務質問の2人に襲われ警官発砲、中国人風の男が死亡
23日午後5時5分ごろ、栃木県西方町真名子の民家前の路上で、
県警鹿沼署真名子駐在所の男性巡査(30)が、
石灯籠(いしどうろう)の頭部(直径約20センチ)を持った中国人とみられる男に
襲いかかられ、拳銃1発を発砲した。
弾は男の左下腹部に命中し、男は約1時間15分後に搬送先の病院で死亡した。
同署で身元の確認を急いでいる。
調べによると、巡査は午後4時40分ごろ、死亡した男と別の男の計2人が、近くにある農協の
現金自動預け払い機周辺で不審な行動をしているのを見つけ、職務質問しようとした。
男が巡査の腰に体当たりして左手で拳銃を奪おうとしたうえ、
民家の庭先から石灯籠を持ち出してきたため、警告の上で発砲したという。
もう1人の男は逃走したが、午後9時15分に入管難民法違反(不法残留)の現行犯で逮捕された。
福島県在住の中国籍の男(37)とみられる。
佐藤忠志・県警警務部長は
「(巡査は)身の危険を感じて発砲した。正当防衛とみられるが、なお詳細は調査中」
とするコメントを発表した。
県警は「背後に犯罪組織が存在する可能性があり、報復される恐れもある」として、
発砲した巡査の氏名は公表していない。
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さて、上記の事件はいずれも もみ合いとなって、拳銃を奪われそうになって
威嚇射撃ないし危害射撃を実施し、事なきを得た訳です。
現状を詳しく見ていないので、事件自体にはコメントできる立場にはありません。
しかし、知り合いの現職の方に色々と話を聞くと、ウェポンリテンション(銃の奪取防止)には、
それほど力を注いでいない、ないし、まったく実施していないとの話を聞きます。
これは、由々しき状況です。
また、ウェポンリテンションで検索をかけてもほとんどヒットしない現状です。
旧ブログがこっそりヒットするのは内緒です(笑)
過去ログ1
過去ログ2
さて、やっとこさ本題です。
ウェポンリテンション(銃の奪取防止)ですが、今回はインホルスター状態でのリテンションです。
最初にこれを選んだ理由としては、銃撃事件や上記の事件を参照すると殆どが、
銃がホルスターに入った状態で発生しており、さらによほどの事がなければ、
日本の警察官は「拳銃をあらかじめ抜いておく」事は難しいためです。
警察官等けん銃使用及び取扱い規範の解釈及び運用について(例規)(pdfファイル)
(平成13年11月30日例規第47号)
まずは、インタビューポジションについてです。
上の写真を見て下さい。
相手との距離を1歩程度とって、不意にタックル等を受けても腰を引ける態勢をとっています。
さらに、左の掌で拳銃に触れて位置を確認しながら防御しています。
その上に右腕を重ねて、拳銃と装備を防護しています。
さらに、対象者への立ち位置ですが左側面を向けて、
けん銃を対象者から最も遠い場所に置いています。
基本は、けん銃を防護した状態で、相手をいかに左手や体捌きでかわすかを訓練します。
また、この状態であれば、右手を左腕に沿って移動させると、迷わずけん銃にアクセスできます。
さて、それでは状況別の対処を見てみましょう。
○相手が興奮してつかみかかってきた場合 【基本的なパターン】
これは、職務質問等でよくあるパターンだと思われます。
状況的には、複数対処が基本ですが、突然の事態や警ら中などが想定されます。
基本対処は、写真のように左手で相手を押しのける事が、基本となります。
重心を落として、相手の胸骨付近を抑える事で、相手との距離を保つことが可能になります。
同時に銃を抜いて射撃を行う場合、あまり下の部位を押さえると支障をきたす場合があります。
実際にこのまま射撃を行う場合は、左手のばねを利用して、突き放すように離れると、
有効にスペースを確保でき両手でのプレゼンテーションが可能になります。
トレーニングを行っている人間ならば、そのままシューティングオンムーブで移動も出来ますし、
スプレーや警棒へのアクセスが可能になります。
○応用、殴りかかってきた場合
こちらも左手でのブロックが基本になります。
写真のようにブロックした後、逮捕術へ移行しても楽に対処可能ですし、けん銃を抜くことも可能になります。
基本的には、射撃するかこのまま体当たりで、相手のバランスを崩したりスタン(急所への打撃)に移行します。
写真を見てもらうと、相手の腹部がガラ空きなのが、わかると思います。
※クロスレンジでの射撃は、まだ写真がありません(汗)
この辺は、エリートフォーセスで紹介されていた、TDIのECQCがわかりやすいと思います。
Elite Forces アメリカ軍編 PART.4 (ホビージャパンMOOK)
○相手がタックルしてきた場合
もし、対象者が不意にタックルしてきた場合、正面で受けると転倒の危険がありますが、
インタビューポジションであれば、足を踏ん張ることができます。
写真を見てもらえばわかりますが、銃を奪おうとしてタックルしても左手でカバーしているけん銃には
直接触れる事は出来ず、かつ一番遠い位置に銃が位置しています。
対処方法としては、このままネックコントロールや真下に崩します。
詳しい方法は、不特定多数が閲覧するネット上ですので割愛しますね。
【注意!】
相手の脅威度や状況に応じて対応やポジションを変化させる柔軟な手法が必要で、
適切なトレーニングが必要です。
このブログを読んだだけで、実際に使用する事は避けて下さい。
また、本ブログの内容を利用して何らかの不利益や損害が発生した場合、
著者及びコメントを書いた方は、一切責任を負いません。
今の所は連続更新が続いていますが、いつまで続くやら(笑)
さて、今回はちょっとマニアックなネタですが、ウェポンリテンションと車両への
接近と不審者の拘束法を数回に分けて、掲載したいと思います。
今回は、ウェポンリテンションです。
まず、ニュースソースから・・・
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http://jp.ibtimes.com/article/biznews/090202/28312.html
拳銃奪おうとした男子中学生に警官が威嚇発砲-愛知・豊橋
2日午前2時半頃、愛知県豊橋市中岩田の市道で、県警豊橋署の男性巡査長(26)が、
中学2年の男子生徒(14)に職務質問しようとしたところ、抵抗されて暴行を受け、
拳銃を奪われそうになったため、拳銃で川面に2発威嚇発砲。
生徒を公務執行妨害と傷害容疑で現行犯逮捕した。
巡査長は顔などに軽傷、生徒にけがはなかった。
同署によると、巡査長は別の警察官とパトカーで巡回中、
原付きバイクに2人乗りしている男子生徒らを発見。
職務質問しようとしたところ、もみ合いとなり、巡査長と生徒は川に落ちた。
そこで拳銃を奪われそうになったため、警告した上で発砲したという。
同署は、拳銃の使用について「適正だったと判断している」とコメントした。
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ソースがなくなっていましたが、読売新聞より引用
職務質問の2人に襲われ警官発砲、中国人風の男が死亡
23日午後5時5分ごろ、栃木県西方町真名子の民家前の路上で、
県警鹿沼署真名子駐在所の男性巡査(30)が、
石灯籠(いしどうろう)の頭部(直径約20センチ)を持った中国人とみられる男に
襲いかかられ、拳銃1発を発砲した。
弾は男の左下腹部に命中し、男は約1時間15分後に搬送先の病院で死亡した。
同署で身元の確認を急いでいる。
調べによると、巡査は午後4時40分ごろ、死亡した男と別の男の計2人が、近くにある農協の
現金自動預け払い機周辺で不審な行動をしているのを見つけ、職務質問しようとした。
男が巡査の腰に体当たりして左手で拳銃を奪おうとしたうえ、
民家の庭先から石灯籠を持ち出してきたため、警告の上で発砲したという。
もう1人の男は逃走したが、午後9時15分に入管難民法違反(不法残留)の現行犯で逮捕された。
福島県在住の中国籍の男(37)とみられる。
佐藤忠志・県警警務部長は
「(巡査は)身の危険を感じて発砲した。正当防衛とみられるが、なお詳細は調査中」
とするコメントを発表した。
県警は「背後に犯罪組織が存在する可能性があり、報復される恐れもある」として、
発砲した巡査の氏名は公表していない。
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さて、上記の事件はいずれも もみ合いとなって、拳銃を奪われそうになって
威嚇射撃ないし危害射撃を実施し、事なきを得た訳です。
現状を詳しく見ていないので、事件自体にはコメントできる立場にはありません。
しかし、知り合いの現職の方に色々と話を聞くと、ウェポンリテンション(銃の奪取防止)には、
それほど力を注いでいない、ないし、まったく実施していないとの話を聞きます。
これは、由々しき状況です。
また、ウェポンリテンションで検索をかけてもほとんどヒットしない現状です。
旧ブログがこっそりヒットするのは内緒です(笑)
過去ログ1
過去ログ2
さて、やっとこさ本題です。
ウェポンリテンション(銃の奪取防止)ですが、今回はインホルスター状態でのリテンションです。
最初にこれを選んだ理由としては、銃撃事件や上記の事件を参照すると殆どが、
銃がホルスターに入った状態で発生しており、さらによほどの事がなければ、
日本の警察官は「拳銃をあらかじめ抜いておく」事は難しいためです。
警察官等けん銃使用及び取扱い規範の解釈及び運用について(例規)(pdfファイル)
(平成13年11月30日例規第47号)
まずは、インタビューポジションについてです。
上の写真を見て下さい。
相手との距離を1歩程度とって、不意にタックル等を受けても腰を引ける態勢をとっています。
さらに、左の掌で拳銃に触れて位置を確認しながら防御しています。
その上に右腕を重ねて、拳銃と装備を防護しています。
さらに、対象者への立ち位置ですが左側面を向けて、
けん銃を対象者から最も遠い場所に置いています。
基本は、けん銃を防護した状態で、相手をいかに左手や体捌きでかわすかを訓練します。
また、この状態であれば、右手を左腕に沿って移動させると、迷わずけん銃にアクセスできます。
さて、それでは状況別の対処を見てみましょう。
○相手が興奮してつかみかかってきた場合 【基本的なパターン】
これは、職務質問等でよくあるパターンだと思われます。
状況的には、複数対処が基本ですが、突然の事態や警ら中などが想定されます。
基本対処は、写真のように左手で相手を押しのける事が、基本となります。
重心を落として、相手の胸骨付近を抑える事で、相手との距離を保つことが可能になります。
同時に銃を抜いて射撃を行う場合、あまり下の部位を押さえると支障をきたす場合があります。
実際にこのまま射撃を行う場合は、左手のばねを利用して、突き放すように離れると、
有効にスペースを確保でき両手でのプレゼンテーションが可能になります。
トレーニングを行っている人間ならば、そのままシューティングオンムーブで移動も出来ますし、
スプレーや警棒へのアクセスが可能になります。
○応用、殴りかかってきた場合
こちらも左手でのブロックが基本になります。
写真のようにブロックした後、逮捕術へ移行しても楽に対処可能ですし、けん銃を抜くことも可能になります。
基本的には、射撃するかこのまま体当たりで、相手のバランスを崩したりスタン(急所への打撃)に移行します。
写真を見てもらうと、相手の腹部がガラ空きなのが、わかると思います。
※クロスレンジでの射撃は、まだ写真がありません(汗)
この辺は、エリートフォーセスで紹介されていた、TDIのECQCがわかりやすいと思います。
Elite Forces アメリカ軍編 PART.4 (ホビージャパンMOOK)
○相手がタックルしてきた場合
もし、対象者が不意にタックルしてきた場合、正面で受けると転倒の危険がありますが、
インタビューポジションであれば、足を踏ん張ることができます。
写真を見てもらえばわかりますが、銃を奪おうとしてタックルしても左手でカバーしているけん銃には
直接触れる事は出来ず、かつ一番遠い位置に銃が位置しています。
対処方法としては、このままネックコントロールや真下に崩します。
詳しい方法は、不特定多数が閲覧するネット上ですので割愛しますね。
【注意!】
相手の脅威度や状況に応じて対応やポジションを変化させる柔軟な手法が必要で、
適切なトレーニングが必要です。
このブログを読んだだけで、実際に使用する事は避けて下さい。
また、本ブログの内容を利用して何らかの不利益や損害が発生した場合、
著者及びコメントを書いた方は、一切責任を負いません。
Posted by 柏木@中の人 at 00:35│Comments(0)
│タクティカルネタ
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