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Posted by ミリタリーブログ at

2009年06月06日

カービンコントロール⑤~トリガーコントロール

さあ、いよいよ射撃の最終段階
引き金を絞る段階まで到達しました。

(Photos by  Silencer Talk

各動作を分解して文章にすると、これだけ膨大な量になりますが
実際の動作は一瞬です。

どれだけの事を脳が分析して、指令を下し 射撃のプロセスとしているのか。
改めて考えさせられますね。
この業界にマニュアルが存在しないというのも、文章量が膨大になると言う事と
発生しうる事象が予測不可能だと言う事が、よくわかります。


一連の射撃に対するプロセスは、ひとまず今回で終了ですが、
最後までよろしくお付き合い下さい。

照準が完成したら、トリガーを引いて任意のタイミングで射撃を実施します。
場合によっては、司令官の命令であったり指令が存在する場合がありますが、
それは例外と言う事にしましょう。


昔、私が所属していた会社では、「静かに夜露が降りるがごとく」引き金を引く。
と言うコトワザがありましたが、ベンチレストであったり検定射撃であれば、
それだけの余裕がありますが、近接戦闘であったり即応射撃の場合、
急迫する事態にどれだけ迅速に対処するかが、課題となっており難しい問題です。

しかし、どのような状況であれ引き金を「絞る」と言う動作は、ある程度共通であり
基本は通じる所が多くあります。

今回は、タクトレや即応射撃時のトリガーのメカニズムと現在のトレンドについて
お話を進めましょう。


そもそもトリガーを引く動作とは、機械を作動させるメカニズムです。
シアと呼ばれるハンマーを押さえている部品です。
そのシアを引き金を絞る事で開放して、ハンマーがファイヤリングピンを叩き
チャンバー(薬室)で火薬の爆発的な燃焼がおこります。

「んなこたぁ、知ってるんだよ!」って、声がちらほら聞こえますが、
この仕組みを十分に理解していないと、後の説明に支障が出てきますので
なにとぞお付き合い下さい。


さて、一通りトリガーから撃発までの流れを説明しましたが、
トリガーには必ず「遊び」と言われる「引きしろ」が存在しています。
この「遊び」をどれだけ適正に処理できるかで、命中精度に影響が出てくるんですね。

目標に向けてトリガーを引く場合、どれだけ直線的に引ききる事が出来るかが、
重要になりますがこの遊びは、素早くトリガーを引く場合に、
無用な動揺を引き起こす場合があります。

その為、プロセスとしては・・・

「遊び」を引ききり→シアを開放する→撃発
っと、言う過程をたどる必要があります。

モデルガン・ガスブロのM4や、無い場合はガスブロのハンドガンで、
これらの事は確認できると思います。


遊びを処理したならば、次にシアの開放ですが、この際の注意点としては、
意識してトリガーを直線的に引くという事です。

ここで、指の長さや手の大きさが関係してくるのですが、
手の小さい人が大きなグリップで無理にトリガーに指をかけると、
グリップを横から握る事になってしまい、
人差し指で、トリガーを左方向に引いてしまう事があります。
こうなると、着弾点は左に移動する傾向が発生します。
図面のがその着弾になりますね。


手の大きな人は、逆に左に着弾する傾向があります。
また、こうしたトリガーの引き方をする人は、
トリガーやグリッピングの個癖を修正しようと射撃姿勢に負荷が生じて、
着弾が大きく変化する場合もあり、グリッピングを変更したり
グリップの交換やトリガーの調整が必要になります。
これは、が該当します。

さらに、ある程度射撃をしている人に見られるのが、反動を意識してトリガーを引く瞬間に
体が身構えてしまい、着弾が下になる場合です。

国内では安全管理上難しいのですが、他人にトリガーを引いてもらったり、
ブランク(空砲)やダミーカートを混ぜたマガジンで射撃するのが、効果的です。

この辺の対処法は、雑誌やDVDでよく紹介されていますので、ご存知かと思います。
良く言われる、ガク引きと呼ばれる現象で、bの位置に着弾する傾向があります。


電動ガンでこのトリガーコントロールを教えるのは、非常に難しいのですが、
基本的な個癖の修正をサイト調整と同時に行って、
早い段階で修正すると皆さん早く上達する様です。


次に、連続してトリガーを引く場合の注意点についてお話しましょう。
先ほど、トリガーの遊びについてはご説明しましたが、ダブルタップや連射を行う際は、
また、遊びに注意が必要になります。

重要なのは、「必要以上にトリガーを戻さない」と言う点です。
先ほど説明したプロセスで、遊びを制御してシア開放と説明しましたが、
不必要にトリガーを戻しすぎると、また遊びを制御する段階からやり直しとなり、
連射速度が落ちるだけでなく、遊びの影響で2発目以降の着弾に影響が出てきます。

その為、シアが掛かる感触を指で感じて、
最小限の戻しで次の射撃を行う事が望ましいと言えます。


では、少し実験してみましょう。

マガジンやチャンバーを確認したガスブロのM4やハンドガンで、
トリガーを引いて、空撃ちをしてみてください。
トリガーを引ききった状態で、ゆっくりとトリガーを前に戻すと
「カチッ」っと言う音と同時に、シアが掛かるのが実感できると思います。

下の図の、オレンジの位置がその場所に当たります。


その状態から、またトリガーを引くと遊びが無く、すぐにシアを開放に動き出すと思います。


最近のトレンドとして、クロスレンジ(至近距離)での射撃は、
射撃の間隔を出来る限り短くする傾向があります。
下手な擬音で申し訳ないんですが、
今までの射撃が「タタン タタン タタン」と言った間隔なら
最近は、「タタタタタタタン」と連続して撃ち込む傾向が見られます。

冗談みたいな話ですが、熟練者になるとこの間隔で確実にターゲットのAゾーンに着弾させるので、
連邦のMSは化物か?と疑いたくなります。

っと、いった具合に素早い連続射撃を行うには、
確実なトリガーコントロールが必要になりますので、十分にトレーニングをする必要があります。

有名な所では、今月号の腕誌に載っていた、VickersTacticalのトレーニングで
空薬莢をスライドに乗せてトレーニングをしていましたが、

そこまでいかなくても日頃のドライファイヤのトレーニングで
静かに引き金を絞るトレーニングと、
シアが掛かるまでゆっくりとした戻しを心がけるだけで

十分に効果があります。

それでは、頑張ってトレーニングに励みましょう!
  

Posted by 柏木@中の人 at 09:37Comments(0)カービンコントロール